ビタミンEは、「子宝ビタミン」とも呼ばれ、妊娠になくてはならない大切な栄養素の一つです。別名「若返りのビタミン」とも呼ばれており、特に妊娠率が徐々に低下してくる35歳以上の妊活女性は積極的に摂る必要があります。

ビタミンEには老化を防ぐ働きやホルモンバランスを整える働き、血液の流れをよくする働きなどがあります。しかし、妊活世代の女性の約半数は、十分な量のビタミンEが摂れていません。

そこで、ビタミンEが妊活に必要な理由とその働きを解説します。また、ビタミンEを食事やサプリなどから摂るときに気を付けることや効果的な摂り方、簡単レシピなども紹介します。

ビタミンEは活性酸素から身を守り、老化を防ぐ

ビタミンEには、さまざまな働きがあり、その中でも特に妊活女性にとって重要な働きが3つあります。

その一つが、体をさび付かせ老化を早めてしまう「活性酸素」の働きを抑えてくれる効果です。

人が生きていくうえで必ず発生するものが活性酸素です。適度な量では、外から入ってくる病原菌などから体を守ってくれる働きがあります。しかし、活性酸素が増えすぎると自分の体の細胞まで攻撃してしまいます。

もともと人の体には、活性酸素を減らす働きのある酵素があるのですが、年齢を重ねるとこの酵素の働きがだんだん悪くなり、増えすぎた活性酸素が体の細胞の老化を引き起こしていきます。

活性酸素によって子宮や卵巣が老化すると、子宮内膜の状態が悪くなり着床しにくくなったり、卵巣の働きが悪くなり卵子が育ちにくくなったりします。また、卵子の細胞が活性酸素により老化すると、卵子の質の低下につながります。

ビタミンEには活性酸素を減らす働きがあります。この働きにより活性酸素が減ると、子宮や卵巣、卵子の老化が抑えられ、妊娠しやすくなる効果が期待できます。特に卵子の老化が進んでいくといわれる35歳以上の女性はしっかりとる必要があります。

ホルモンバランスを整える働き

ビタミンEには、ホルモンバランスを整える効果があります。ビタミンEは、脳の下垂体という部分に働きかけ、妊娠に必要なホルモンである卵胞ホルモンや黄体ホルモンの分泌を促す働きがあるからです。

ビタミンEによりホルモンバランスが整うと、卵巣では卵子がしっかり育ちます。また、子宮内膜の状態が整い着床しやすい状態になります。

このように、ビタミンEを十分摂ることでホルモンのバランスが整い、妊娠しやすくなる効果が期待できます。

血液の流れを良くする働き

ビタミンEには、血液の流れをよくする働きがあります。血液をサラサラにして固まりにくくする作用や、血管を広げる作用があるからです。

体に必要な酸素や栄養素は血液に乗って運ばれますから、血液の流れが良くなると、必要な酸素や栄養素が子宮や卵巣などへしっかり届きます。その結果、子宮や卵巣の環境が良くなり妊娠しやすくなります。

特に年齢を重ねると、卵子を包む卵胞に伸びる血管が細くなって血液の流れが悪くなることが知られています。すると、卵子に酸素や栄養素が届きにくくなり、卵子の質が低下してしまいます。

ビタミンEをたくさんとることで、年齢を重ねて細くなってしまった血管の血液の流れが促されるため、35歳を過ぎた人は特にしっかり摂る必要があります。

ビタミンEの摂取量はどれくらいか

ビタミンEの成人女性の1日の目安量は、α―トコフェロールとして6㎎です。α―トコフェロールとは、いくつか種類のあるビタミンEの中で最も効果の強いものの名前です。目安量とは、「これくらいとれていれば不足することはないでしょう」という最低限の量です。

しかし、この目安量以上とれているのは、20代~40代女性では半分以下といわれています。しかも目安量は、健康を維持する上での必要最低限の量です。妊娠を目指す女性は、この量よりも多めにとる必要があります。

ビタミンEは、不妊治療中の女性に薬として処方される場合もありますが、その場合の投与量の目安は1日当たり150~600㎎程度です。

また、1日の上限の量は、1日当たり1000㎎です。通常の食事で1日1000㎎を超えることはまずありませんから、普段の食事で摂りすぎを気にする必要はまったくありません。積極的に摂るようにしましょう。サプリなどで補う場合は用量を守り、1000㎎を超えないようにしましょう。

  • ビタミンEが不足しやすい人の特徴

ビタミンEが不足しやすい人の特徴を以下に示します。

  • 揚げ物や油菓子をよく食べる
  • 家で古いサラダ油を使っている
  • 手足がしびれることがある
  • 肌にシミやそばかすが増える
  • 傷が治りにくい
  • 手足が冷えやすい
  • しもやけがよくできる
  • 激しい運動や肉体労働をしている
  • 強いストレスを感じることが多い

以上にあてはまる項目が多くある人は、ビタミンEが不足している可能性があります。特に意識してビタミンEを多くとるようにしましょう。

食事からビタミンEを摂るときのポイント

ビタミンEは油と一緒に調理すると吸収されやすくなります。ビタミンEは油に溶けやすい性質があるからです。例えば、ビタミンEを含むかぼちゃは、油を含まない煮物にするより、マヨネーズで和えるサラダにするほうが効率よくビタミンEを吸収できます。

また、マヨネーズそのものにもビタミンEは含まれているため、より効率よくビタミンEを摂ることができます。

このように、ビタミンEを含む食材は油と一緒に調理しましょう。

ただ、開封してしばらくたった古い油や、何度も揚げ物に使用した油などは避けるようにしましょう。ビタミンEは植物油にも含まれていますが、古い油や揚げ物に使用した油では酸素や熱の影響でビタミンEが酸化してしまうからです。

参考までに以下の写真は、ビタミンEを多く含むこめ油です。

こめ油はビタミンEを多く含んでいますが、比較的酸化しにくいといわれているためおすすめです。しかし、比較的酸化に強いとはいえ、開封後時間がたつとビタミンEの酸化が進んでしまうため注意が必要です。

開封後1~2か月くらいで使い切るようにするといいです。料理に使う油は新鮮なものを使用し、1~2か月程度で使い切るようにしましょう。

なお、ビタミンEが効率よく作用を発揮するためには、ビタミンCを一緒にとるようにすると効果的です。ビタミンEとビタミンCは共同して抗酸化作用を発揮するからです。

例えば、ビタミンCを含む野菜のサラダにビタミンEを含む植物油をドレッシングの代わりにかけるようにするといいです。

このように、ビタミンEだけでなくビタミンCも一緒にとるようにしましょう。

  • ビタミンEを多く含む食品

ビタミンEを多く含む食材とその量(α―トコフェロールの量として)を以下に示します。

  • 養殖あゆ焼き1匹50g    4.1㎎
  • 調整豆乳100㎎       2.2㎎
  • うなぎかば焼き1串100g   4.9㎎
  • アーモンド10粒15g     3.3㎎
  • かぼちゃ100g        4.7㎎
  • アボカド半分70g     2.3㎎
  • ツナ缶1個70g        2.0㎎
  • 鶏卵1個50g         1.7㎎
  • なたね油大さじ1杯    2.0㎎
  • ひまわり油大さじ1杯   5.0㎎
  • 米油大さじ1杯      3.3㎎
  • 大豆油大さじ1杯     1.4㎎

ビタミンEが摂れる簡単レシピ

ビタミンEが摂れる簡単なレシピを2つ紹介します。5分でできるので、忙しい時でも簡単に作ることができます。

かぼちゃのサラダ
材料(2人分)】

  • 市販の冷凍かぼちゃ  150g
  • マヨネーズ      大さじ3
  • めんつゆ(3倍濃縮)  大さじ1

【作り方】

  1. 耐熱容器に入れた冷凍かぼちゃを電子レンジで約4分加熱する。
  2. 1をフォークの裏を使って荒くつぶす。
  3. マヨネーズとめんつゆであえる。
  • 水菜とツナのサラダ

【材料(2人分)】

  • 水菜        1束
  • ツナ缶(オイル漬け)1個
  • ポン酢      大さじ2

【作り方】

  1. 水菜を洗い、食べやすい大きさに切る。
  2. ツナ缶をオイルごと入れる。(ツナ缶のオイルにもビタミンEが含まれているため、捨てずに使う)
  3. ポン酢をかける。

ビタミンEのサプリメントの摂り方

20~40代の女性の約半数は、食事から十分な量のビタミンEが摂れていません。特に妊活女性は意識して多くの量のビタミンEをとる必要がありますが。仕事や家事などに忙しい女性にとっては、毎日の食事でしっかりとるのは難しいこともあります。

サプリメントを利用すると、普段の食事だけでは足りない分を手軽に補うことができます。以下に、サプリメントを利用するときに気を付けることを説明します。

ビタミンCと一緒にとる

ビタミンEをサプリとして摂るときは、単独ではなくビタミンCのサプリと一緒にとることをお勧めします。ビタミンEはビタミンCと一緒にとることで効率よく抗酸化作用が発揮できるからです。

不妊治療を受ける女性で子宮内膜がなかなか厚くならない人に対して、薬としてビタミンEが処方されることがあります。このとき、ビタミンE単独ではなくビタミンCも一緒に処方されます。

ビタミンEとビタミンCが共同して抗酸化作用を示すことによって子宮内膜の状態がよくなり、妊娠率が上がることが知られています。

サプリとして摂るときも、ビタミンEとビタミンCはセットで摂るようにしましょう。

飲むタイミングは食後がよい

ビタミンEのサプリを飲むタイミングは食後がおすすめです。ビタミンEは油に溶けやすい性質があるため、食事に含まれている油分に溶けて吸収されやすくなるからです。

実際に、食後では、空腹時と比べてビタミンEの吸収率は1.5~4倍に上がります。効率よく吸収させるために、食後にとりましょう。

天然または天然型のビタミンEがおすすめ

サプリに配合されているビタミンEには、天然、天然型、合成の3種類があります。

天然のビタミンEは、植物油などの食品から抽出したビタミンEそのものです。

天然型のビタミンEとは、食品から抽出したビタミンEに安定性が良くなる加工をしたものです。体の中に入ると加工された部分は外れ、天然のビタミンEと同じ働きをします。

以下の写真は、100%天然のビタミンEのサプリです。

合成のビタミンEは、その名の通り化学的に合成されたものです。化学的にビタミンEを合成すると、光学異性体とよばれるものが半分くらい混ざってできます。光学異性体は、ビタミンEととても形が似ているのですが微妙に違います。体に入ってもビタミンEと同じように働くことはありません。

つまり、合成のビタミンEの中には効果のないものが半分混ざっていることになるため、その働きは半分となります。それでは効率が悪いため、サプリを選ぶときは天然か天然型のビタミンEが使われているものを選ぶようにしましょう。

以下の写真は、天然と合成の両方のビタミンEが配合されているサプリです。

原材料名に「ビタミンE含有植物油」と表示されているのが天然のビタミンEです。「酢酸V.E」と表示されているのが合成のビタミンEです。

ビタミンEのサプリを選ぶときは、「天然ビタミンE」「ビタミンE含有植物油」などの表示があるものを選びましょう。

まとめ

ビタミンEは妊娠になくてはならない栄養素です。活性酸素を減らして細胞の老化を防ぐ働きや、ホルモンバランスを整える働き、血液の流れをよくする働きがあるからです。

食事からビタミンEを摂るときに気を付けることは、油と一緒に調理すること、新鮮な植物油を使うこと、ビタミンCと一緒にとることです、

日本人女性のビタミンEの1日の目安量は6㎎ですが、20~40代の女性の約半数は足りていません。

サプリを利用すると、不足しがちなビタミンEを効率よくとることができます、サプリで摂る場合も、ビタミンCと一緒にとるようにしましょう。摂るタイミングは空腹時ではなく食後のほうが吸収されやすくなるためおすすめです。

これらのことに気を付けて、ビタミンEを積極的に摂り、妊娠しやすい体に近づけましょう。