たんぱく質は、妊娠し赤ちゃんを育むためにはなくてはならない栄養素です。妊活中の女性に不足すると不妊につながるため、不足しないようにしっかり摂る必要があります。

特に、野菜中心の食事を心がけている人や朝ご飯を軽く済ませている人、炭水化物のみのメニューが多い人などは、たんぱく質が不足しやすくなります。

こうした状態では、自分の体を維持するためのたんぱく質さえ不足してしまう可能性が高く、妊娠どころではありません。

そこで、妊娠するためにたんぱく質が必要な理由を説明します。また、妊活中の女性に必要な量や、不足しがちなたんぱく質の補い方も解説していきます。

妊娠するためにたんぱく質が必要である理由

ヒトの体は、水分を除くと一番に多いのがたんぱく質で、全体の約7割を占めています。たんぱく質は、筋肉や内臓、皮膚、髪、爪など、体中のあらゆるものをつくっています。妊娠に関わる子宮や卵巣などの臓器や、卵子の細胞ももちろんたんぱく質でできています。

ヒトの体は、食事から取り入れたたんぱく質を原料として、毎日新しい細胞を作っています。たんぱく質が不足すると、自分の体を維持するだけで精いっぱいで、妊娠して赤ちゃんのためにたんぱく質をまわすだけの余裕がなくなってしまいます。

赤ちゃんの体をつくるためにも、もちろんたんぱく質は不可欠です。妊娠するととてもたくさんの量のたんぱく質が必要になります。しかし、自分の体を維持するためのたんぱく質さえ不足している状態になると、妊娠どころではありません。

妊娠に関わる子宮や卵巣などの臓器もたんぱく質でできていますから、たんぱく質が不足すると、子宮や卵巣の機能が低下してしまいます。子宮内膜は厚くならず、卵巣では良質な卵子が育たなくなってしまいます。その結果、生理不順や無排卵、無月経を引き起こすこともあります。

体の中のたんぱく質は、古くなったものが壊され、新しいものが合成され、常に入れ替わっています。体の中で新しいたんぱく質を合成するためには、原料となるたんぱく質を食事からとる必要があります。

一般的に女性は35歳を過ぎると妊娠しにくくなるといわれていますが、35歳以上の妊活女性は特にタンパク質をしっかり摂る必要があります。年齢が上がるにつれて、体の中で新しいタンパク質を作る能力が落ちてしまうからです。

たんぱく質が不足しやすい人の特徴

妊活中の女性にとってたんぱく質は必要不可欠な栄養素なので、しっかり摂る必要があります。しかし、以下に挙げる3つの特徴に当てはまる人は、たんぱく質が不足している可能性が高いです。

野菜中心でヘルシーな食事を心がけている人

妊活のために、健康のためにと野菜中心の食事を心がけている人は多いと思います。しかし、野菜だけでは必要なたんぱく質は補えません。

タンパク質が多く含まれる食品は、肉や魚、卵、乳製品、大豆製品などです。特に肉や魚、卵などの動物性の食品は、たんぱく質を効率的に摂ることができる優秀な食材です。

大豆製品にも良質なたんぱく質が含まれていますが、含まれている量が動物性の食品と比べて少ないため、必要な量のたんぱく質を大豆製品だけでまかなおうと思うとかなりたくさん食べる必要があります。そのため、たんぱく質が不足しがちになってしまいます。

納豆や豆腐を食べているからたんぱく質は足りていると思っている人もいるかもしれません。しかし、大豆製品だけで妊活女性が1日に必要な量のたんぱく質を摂ろうと思うと、納豆では12~17パックも食べなくてはいけません。

これだけの量の納豆を毎日食べられる人はいませんから、肉や魚、卵などの動物性の食品も控えることなくしっかりと食べる必要があります。

特に健康に気を使っている女性は、お肉は高カロリーなので体に良くないという誤ったイメージから、動物性たんぱく質を控えているという人も多いです。「健康に気を使っているつもりが、実は妊娠から遠ざかっていた」ということにならないように気を付けましょう。

朝ご飯を抜いたり、軽く済ませたりしている人

朝は、時間がなかったり食欲がなかったりすることが多いので、軽く済ませたり抜いたりする人は多いです。朝から時間をかけて料理をするくらいなら、少しでも寝ていたいと思う人もいると思います。

しかし、たんぱく質は、毎食食べる必要があります。1食でたくさん食べても、ためておくことができないからです。そのため、朝食を軽く済ませているようでは、夕食でたっぷりたんぱく質を摂ったとしても不足しがちになってしまいます。

「夕食でお肉や魚をたっぷり食べるから、朝は軽くても大丈夫と思っている」という人は間違いです。妊活中の女性は不足しないように朝からしっかりたんぱく質を摂りましょう。

例えば、以下のように、食パンとコーヒーだけの朝食では、ほとんどが糖質で、たんぱく質は不足してしまいます。

一方、これにゆで卵とツナサラダをプラスし、飲み物を豆乳に変えると、たんぱく質の量が増えます。

こうした朝ご飯であれば、たんぱく質をしっかり摂ることができます。

炭水化物の多いメニューのみで昼ご飯を済ませている人

仕事をしている人は、昼は外食という人は多いと思います。外食メニューの選び方によっては、栄養バランスが偏ってしまい、たんぱく質が不足してしまうことがあります。

外食では、主食、主菜、副菜がそろった定食を選ぶようにすると、栄養バランスが整いやすいです。例えば、以下のような定食です。

パスタや麺類、丼物などの単品メニューは、炭水化物が多く、たんぱく質は不足しやすいのでできれば避けましょう。麺類や丼物を食べたい場合は、タンパク質を含むサイドメニューを1品追加するか、具材の多いものを選ぶようにしましょう。

例えば、以下のような具材の少ないパスタと野菜サラダだけではたんぱく質は不足してしまいます。

これを、具材の多いパスタに変え、サイドメニューのサラダをカルパッチョに変えれば、たんぱく質の量が増えます。

コンビニのパンやおにぎりなどだけで食事を済ませている人も、たんぱく質が不足してしまいます。パンやおにぎりは手軽に食べられるので時間がないときにはそれだけで済ませる人もいるかもしれませんが、そのほとんどが炭水化物なので、タンパク質は全く足りていません。

例えば卵料理やチキンサラダなどのたんぱく質を含むおかずをもう1品追加したり、菓子パンではなく卵サンドやツナサンドなどのたんぱく質を含むものを選んだりすることで、できるだけたんぱく質を多くとるようにしましょう。

たんぱく質は、毎食摂る必要があります。外食やコンビニでランチを摂るときも、肉や魚、卵、大豆製品などがたっぷり入ったメニューを選ぶようにしましょう。

たんぱく質が不足すると現れる症状

たんぱく質は妊娠するために必要なだけでなく、健康を維持するために欠かせない栄養素です。したがって、不足すると妊娠しにくくなるだけでなく、体に様々な不調が現れます。

以下に、たんぱく質が不足すると現れる症状を示します。1つでも当てはまる人はたんぱく質が不足している可能性がありますので、意識して多く摂るようにしましょう。

  • 体力、スタミナがなく、疲れやすい
  • 肌のハリや髪のつやがなくなってきた
  • 生理不順
  • 体がむくむ
  • やる気が出ない
  • 食欲不振

どれくらいの量のたんぱく質を摂ればいいのか

通常は、1日に必要なタンパク質の量は、体重1㎏あたり1~1.5gといわれています。しかし、妊娠を目指す女性は、赤ちゃんの発育のためにも多くのたんぱく質が必要となるため、体重1㎏あたり1.5~2gくらいは摂ったほうがいいです。

あなたが体重50㎏の女性だとすると、1日あたり75~100g、1食あたり25~33gのたんぱく質が必要になります。これだけの量のたんぱく質を毎食摂る必要があります。

以下に、肉や魚、卵に含まれるたんぱく質の量を示します。

種類や部位により異なりますが、100gの肉や魚でだいたい20gくらいのタンパク質がとれるといわれています。

食材 含まれるタンパク質(g)
サケの切り身100g 19.6
かつおの切り身100g 25.0
サバの切り身100g 20.6
牛肉モモ赤身100g 20.2
豚肉モモ赤身100g 21.9
鶏肉もも皮なし100g 19.0
鶏卵2個100g 24.6

次に、大豆製品に含まれるタンパク質の量を示します。大豆製品に含まれるたんぱく質の量は、肉や魚などと比べると少なめになります。

 

大豆製品 含まれるタンパク質(g)
豆腐100g(約1/3丁) 5.0g
おから(生)100g 6.1g
豆乳100mL 4.5g
納豆1パック40g 6.1g

このように肉や魚、卵などの動物性の食品だけでなく、大豆製品にも良質なたんぱく質が含まれています。しかし、含まれている量は肉や魚と比べて少ないため、大豆製品だけで必要なたんぱく質を摂ろうとすると、かなりの量が必要になります。

例えば納豆なら12~17パック、豆乳なら1700~2200mL、豆腐なら5~7丁も必要になります。これだけの量を1日に食べるのは難しいので、大豆製品単独ではなく、肉や魚、卵などと組み合わせて食べる必要があります

植物性たんぱく質を多く摂ると排卵障害のリスクが下がる

肉や魚、卵などの動物性の食品は、大豆製品よりも効率的にたんぱく質を摂れる食材です。

しかし、肉類を多く摂り、大豆製品などの植物性のたんぱく質を摂らないようにしてしまうと、排卵障害が起こりやすくなってしまいます。排卵障害のリスクを下げるためには大豆製品などの植物性のたんぱく質を摂る必要があります。

アメリカの女性を対象に行われた健康調査によると、25gの動物性たんぱく質をやめ、かわりに25gの植物性たんぱく質を摂ると、排卵障害による不妊のリスクが50%下がったという報告があります。

排卵障害による不妊を防ぐためには、動物性たんぱく質だけにかたよることなく、植物性たんぱく質も積極的に摂りましょう。

牛肉や豚肉を多く摂ると子宮内膜症になりやすくなる

牛肉や豚肉を多く摂る女性は子宮内膜症になりやすくなるといわれています。子宮内膜症とは、普通は子宮の内側だけにあるはずの子宮内膜が、子宮以外の場所にもできてしまう病気のことです。子宮内膜症の女性の約半数が不妊になるといわれています。

アメリカの女性を対象に行われた健康調査によると、1日に2人前以上の牛肉や豚肉を食べる女性は、そうでない人と比べると子宮内膜症になるリスクが56%高かったという結果が出ています。

牛肉や豚肉にはたんぱく質だけでなく脂肪も多く含まれていますが、この脂肪の摂りすぎが子宮内膜症につながると考えられています。

これらのことから、食事からたんぱく質を摂るときは、牛肉や豚肉だけに偏ることなく、鶏肉や魚、卵、大豆製品など、様々な食品からバランスよく摂らなければいけません。

体重50㎏の女性が1食に必要なタンパク質の食材の例

あなたが体重50㎏の女性だとすると、1食あたりどれくらいの食材を食べれば必要なタンパク質が摂れるでしょうか。食材によって多少変わりますが、おおよその目安は、以下のようになります。

  • 肉や魚や卵などを100~150g+大豆製品1種類

これにより、妊活女性に必要な量である約25~33gのタンパク質が摂れます。

食材の一例を以下に示します。

卵1個50g(タンパク質;12.3g)+ツナ缶1個(タンパク質;12.8g)+調整豆乳200mL(タンパク質;7.7g)=タンパク質32.8g

サバの切り身1切れ70g(タンパク質;14.4g)+ウインナー4本80g(タンパク質;10g)+納豆1パック40g(タンパク質;6.1g)=タンパク質30.5g

鶏もも肉皮なし100g(タンパク質;19.0g)+サーモン刺身5切れ50g(タンパク質;9.8g)+豆腐1/3丁100g(タンパク質;5.0g)=タンパク質33.8g

これくらいの量で、体重50㎏の女性が1食に必要なたんぱく質をまかなえます。この量のたんぱく質を毎日毎食食べる必要があります。

しかし、これだけの量を毎食料理して食べるのは大変です。しかも、妊娠に必要な栄養素はたんぱく質だけではありません。ほかの栄養素のバランスも考えて作らなくてはいけません。

そう考えると毎日毎食続けるのはとても難しいです。そこでおすすめなのは、足りないたんぱく質をプロテインドリンクでおぎなう方法です。

プロテインってどんなものか

プロテインは大豆や牛乳のタンパク質から作られた健康食品の一種です。通常は粉末の状態で、水や牛乳に溶かして飲むのが一般的です。

ダイエットや筋肉をつけることを目的に使用されることが多いですが、不足しがちなタンパク質を効率よく摂りたい妊活中の女性にもおすすめです。

特に、仕事に家事にととても忙しい妊活女性にはプロテインがおすすめです。時間のないときにもとても手軽にとることができるからです。

専用のシェーカーに水または牛乳を入れ、規定量のプロテインの粉末を入れて蓋をし数回振って混ぜるだけです。30秒ほどでできますので、あわただしい朝にも簡単に作れます。特に朝は時間がなくて簡単なものしか食べないという人にはおすすめです。

また、胃腸が弱くて肉や魚をたくさん食べると胃もたれするという人にもおすすめです。肉や魚などにはタンパク質だけでなく脂肪分も含まれています。脂肪分が多く含まれていると消化に時間がかかり、胃腸が弱い人は胃もたれすることがあります。

プロテインの脂肪分は多くないため、胃腸の弱い人でも胃もたれしにくいです。胃もたれしやすくて肉や魚などをたくさん食べられないという人にもプロテインはおすすめです。

どんなプロテインを選べばいいか

プロテインには、大きく分けて2種類あります。大豆の成分でできているものと、牛乳の成分でできているものです。大豆由来のものをソイプロテインといいます。牛乳の成分でできているものにはホエイプロテインとカゼインプロテインがあります。妊活中の女性におすすめなのは、大豆由来のソイプロテインです。

大豆製品などの植物性のたんぱく質を摂る量が多いと排卵障害になりにくいことが分かっています。

豆腐や納豆などに含まれているたんぱく質の量は、前述のとおり、肉や魚などと比べると少ないです。そのため、必要なたんぱく質を豆腐や納豆などだけで摂ろうとすると、かなりたくさんの量を食べなくてはなりません。しかし、大豆由来のソイプロテインを利用すると、効率よく摂ることができます。

プロテインを飲むタイミング

市販のプロテインのパッケージには、「運動直後や寝る前などがおおすすめ」と書いてある場合が多いです。しかし、これは筋肉をつけることを目的とした飲み方なので、妊活女性には当てはまりません。不足しているタンパク質をおぎなうことが目的なので、食事にプラスして飲むのがおすすめです。

例えば朝食をいつも軽めに済ませている人は朝食と一緒に、昼に時間がなくてタンパク質が摂れていなければ昼食時に、という具合にするといいです。

特に朝食は、食欲がなかったり時間がなかったりするのであまり食べないという人は多いです。1日のうちで1番軽く済ませている人が多いので、朝食と一緒のタイミングで飲むのがおすすめです。

しかし、胃もたれしやすくてすぐにお腹がいっぱいになってしまうという人は、食事と一緒にプロテインを飲もうとするとお腹がいっぱいになってしまい、肝心の食事があまり食べられなくなってしまうことがあります。そういう場合は食事と食事の間の空腹時に飲むといいです。

まとめ

タンパク質は、妊娠し赤ちゃんを育むためにはなくてはならない栄養素です。妊娠に関わる子宮や卵巣などの臓器を作る役割や、栄養素や酸素を体中に運ぶ役割、女性ホルモンの原料となる役割などがあります。

妊活中の女性にたんぱく質が不足すると、子宮や卵巣の機能の低下や、ホルモンの分泌の低下などを引き起こし、不妊に繋がります。

このとき、動物性の食品は、大豆製品よりも効率的にたんぱく質を摂れる食材です。しかし、植物性たんぱく質を食べる量が少ないと排卵障害のリスクが上がります。また、牛肉や豚肉を多く摂ると子宮内膜症になりやすくなります。

排卵障害や子宮内膜症による不妊を防ぐためには、牛肉や豚肉などだけにかたよることなく、大豆製品などの植物性たんぱく質や、魚、卵などからもバランスよくたんぱく質を摂るようにしましょう。

また、不足しがちなたんぱく質を効率よく補うためにはプロテインがおすすめです。大豆由来のソイプロテインを選び、たんぱく質が不足している食事にプラスして飲むことをおすすめします。