妊娠中の飲酒が悪影響であることはよく知られています。しかし、まだ妊娠はしていないけど子供を授かりたいと考えている妊活中の女性にとって、アルコールはどのような影響があるのかについてはあまり知らないという人が多いです。

妊活中の女性の中には、アルコールをどの程度飲んでもいいのか、またいつまでなら飲んでもいいのかと疑問に思ったことのある方もいるのではないでしょうか。

このページでは、妊活中の女性がアルコールを飲むとどのような影響があるのかを解説します。また、どの程度までアルコールを飲んでもいいのか、いつから完全に禁酒するべきなのかを説明します。

大量の飲酒は妊娠力を低下させる

女性が大量に飲酒することで妊娠しにくくなります。大量にアルコールを飲むことによってホルモンバランスが崩れるからです。

ホルモンのバランスが崩れることにより、月経のサイクルが乱れ、生理不順になったり、排卵が起こりにくくなったりします。

また、せっかく排卵が起こったとしても、受精卵が着床しにくくなったり、流産しやすくなったりすることもあります。

このように、大量のお酒を飲むことによって、妊娠にいたる確率が下がってしまいます。

普段から毎日たくさん飲酒する人で、なかなか妊娠にいたらないという人は、もしかしたら飲酒による影響が関係しているかもしれません。そういう場合はお酒の量と頻度を減らすことをおすすめします。

どの程度のアルコール量なら大丈夫なのか

大量のアルコールは妊娠力を低下させます。では、どれくらいまでの量ならアルコールを飲んでも大丈夫なのでしょうか。

スウェーデンにおいて女性のアルコール摂取量と不妊の関係を調べた研究があります。それによると、1週間に飲むアルコールの量が50g未満である女性は、それ以上のアルコールを飲む女性と比べて不妊症のリスクが35%低かったそうです。

このことから、妊娠を望む女性はアルコールの量を1週間に50g未満におさえるべきであるといえます。

では、アルコール50gとは、どれくらいのお酒の量になるのでしょうか。以下に、アルコール50gに相当するお酒の量を示します。

お酒の種類(アルコール度数の目安) お酒の量

量の目安

ビール(約5%) 1250mL 3.5缶(1缶は350mL)
チューハイ(約5%) 1250mL 3.5缶(1缶は350mL)
ワイン(約14%) 450mL ワインボトル0.6本(1本は750mL)
日本酒(約15%) 420mL 約2.3合(1合は180mL)
焼酎(約25%) 250mL 約1.4合(1合は180mL)
ウィスキー(約42%) 150mL シングル5杯(1杯は約30mL)

妊活中は、1週間に飲むお酒の量が上記の量未満であれば不妊になることはない考えられます。例えば、ビールであれば1日1缶を週に3回くらい、ワインであればボトル1本を2週間かけて飲むくらいなら大丈夫です。

どうしてもやめられない場合はノンアルコール飲料を利用する

女性がアルコールを飲むことで妊娠しにくくなることが分かっています。したがって、妊活中の女性はできるだけお酒を控えたほうがいいことは間違いありません。

しかし、1週間で50g未満というのは、お酒が好きで毎日の晩酌が欠かせない人にとってはかなり少ないと感じる量かもしれません。たとえ子供を授かるためとはいえ、急にお酒を減らすのはかなりのストレスになることでしょう。

急にやめることでストレスを抱え、かえって悪影響にならないとも言えません。そういう場合は、まずは少しずつ量と頻度を減らしていくようにするべきです。

お酒が好きで毎日たくさん飲んでいるという人は、毎日のお酒を少しずつノンアルコール飲料へ置き換えていくようにすると、無理なくお酒の量を減らすことができます。

例えば、以下はノンアルコールビールです。

私はビールが好きで毎晩のように飲んでいたのですが、妊活を始めてからはノンアルコールビールに変えました。最初は少し物足りないと感じましたが、今では物足りなさを感じることは全くありません。不妊治療をしている中、本物のビールをほとんど飲まずにノンアルコールビールを週に2~3回飲んでいます。

メーカーによって味も違うのですが、私はアサヒのドライゼロとサントリーのオールフリーをよく飲みます。アサヒのドライゼロは、後に残る苦みがより本物のビールに近い味だと思います。

サントリーのオールフリーはフルーティーで、ドライゼロと比べると苦みは少ないですが飲みやすいと思います。ピンクのパッケージのコラーゲン入りのものもあります。

また、ビール以外にも、カクテルや酎ハイなど、さまざまな種類のノンアルコール飲料が市販されています。好みに合わせて選べるため、お酒が好きでやめられないという人は試してみてください。

「ワインを飲むと妊娠しやすくなる」は本当か?

ある調査によると、ワインを飲むことで妊娠しやすくなるという報告があります。しかし、別の調査では、どの種類のお酒でも不妊につながるという報告もあります。このように、専門家の間でも意見が分かれています。

したがって、ワインを飲むことで妊娠しやすくなるとははっきりいえません。

ワインにはポリフェノールなどの抗酸化物質が含まれており、体にいいというイメージがありますが、含まれているアルコールの量は約14%と高めです。アルコールによる妊娠力の低下の可能性を考えると、やはり飲みすぎるのは禁物です。

1週間にワインボトル約0.6本分(450mL)以上のワインを飲むと妊娠力が低下する可能性があります。妊活中の女性がワインを飲む場合は、1週間にボトル半分程度までにしておいたほうがいいでしょう。

ポリフェノールを含め、抗酸化物質を取ることで妊活したい場合、ワインではなく食事やサプリメントから取るようにしましょう。

ブルーベリーなどに含まれるアントシアニン、大豆に含まれるイソフラボンやサポニン、ゴマに含まれるセサミン、そばに含まれるルチンなどが、抗酸化物質として知られています。妊活中はこれらを積極的に摂取しましょう。

妊娠が成立したら禁酒する

妊娠が成立していない段階では、1週間に50g未満であればアルコールを飲んでも大丈夫です。しかし、妊娠が成立してからは完全に禁酒するべきです。妊娠中の女性が飲酒することで、わずかな量でもおなかの中の胎児に影響が及ぶ可能性があるからです。

妊娠が成立したら、たとえ少量でもアルコールを飲むと胎児に悪影響が出る可能性があります。以下に、アルコールを飲むことで胎児にどのような影響が出るのか、またいつから禁酒するべきなのかを説明します。

流産や死産の可能性が高まる

妊娠中の女性が飲んだアルコールは、胎盤を通じておなかの中の胎児に伝わります。アルコールの影響により胎児が生きていけないほどの重い奇形や障害が生じてしまうと、結果的に流産や死産にいたります。

具体的には、1週間に約56g以上のアルコールをのむことにより、流産率が約2倍になるといわれています。アルコール56gとは、1本350mLのビール4本分、1杯125mLのグラスワイン4杯分に相当します。

胎児性アルコール症候群

流産や死産にいたらなかったとしても、生まれてくる赤ちゃんに様々な障害が現れる可能性があります。妊娠中の女性がアルコールを飲むことによって赤ちゃんに現れる障害のことを総称して、胎児性アルコール症候群といいます。

外見に特徴のある顔つきや、体が小さい状態で生まれてくる、中枢神経系の異常、心臓の奇形や関節の奇形など、様々な奇形や障害を持って生まれてくる可能性があります。

胎児に影響が出る可能性があるのは妊娠が成立してから

妊娠が成立するまでは、たとえ飲酒をしたとしても胎児に奇形などの影響が出ることはありません。妊娠が成立するとは、受精卵が子宮の壁にたどり着いてそこに定着する(着床する)ことを意味します。受精卵が着床するまでには14日間くらいかかると考えられています。

したがって、妊娠の成立していない受精後14日間までは、たまに少しだけ飲む程度なら大丈夫であると言えます。

しかし、受精後14日を過ぎて着床が成立すると、胎児にとって最もアルコールの影響を受けやすい「絶対過敏期」という時期に入ります。

絶対過敏期とは、赤ちゃんの体の主要な器官が作られる大切な時期で、妊娠週数で言うと4~7週まで(最終月経がはじまった日を0週0日と数える)にあたります。この時期にアルコールを飲んでしまうと、正常な器官の形成が妨げられてしまい、重大な奇形が発生したり、中枢神経系の異常につながったりする可能性があります。

また、この絶対過敏期を過ぎたからといって大丈夫、ということはありません。重要な器官の形成が終わってからも、胎児はお母さんのおなかの中で成長を続けます。お母さんが飲酒することによって胎児の成長が妨げられ、障害が出る可能性は十分あります。

胎児の成長が妨げられることのないよう、妊娠が成立したらすべての期間において禁酒する必要があります。

低温期と排卵日、高温期の前半は奇形の心配がない

では、具体的にいつ頃までならアルコールを飲んでも大丈夫なのでしょうか。実際に胎児として育っており、ある程度の妊娠周期が経った後に妊娠が判明します。この間に飲酒をしてはいけません。

妊活をしている人の多くは基礎体温を測定していると思いますが、以下に、一般的な基礎体温のグラフを示します。

基礎体温の低温期では、当然ですが妊娠は成立していません。また、排卵期前後や高温期の前半くらいの間もまだ妊娠が成立していません。受精卵が着床し妊娠が成立するまでには、受精してから14日間かかるからです。

このことから、低温期と排卵期、高温期の前半くらいまでは、たまに少量飲む程度なら大丈夫であるといえます。上記のグラフでいうと赤い矢印で示したところがこの時期にあたります。

飲みすぎると不妊になる可能性があるため、量は控えるべきです。ただ、例えば「生理が来てしまった(リセット)後にストレス発散のために少し飲む」というくらいなら問題ないでしょう。

高温期の後半くらいから飲まないほうが無難

一方で、受精後14日を過ぎて着床が成立すると、絶対過敏期という胎児にとって最も影響の出やすい時期に入るので注意が必要です。排卵日予測が正確でなかったり妊娠判定が遅れて妊娠に気が付くのが遅れたりすると、「気づいた時には絶対過敏期に入っていた」ということがあるかもしれないからです。

いつ受精したか、いつ着床が成立したかを正確に知ることはできません。排卵のタイミングがいつも必ず周期通りに来るとは限りませんし、ちょっとした体調の変化で排卵日が数日ずれるということは起こりえます。

「まだ排卵日から14日たっていないから大丈夫と思ってお酒を飲んでしまったけど、後になって妊娠していたことが分かった」ということが起こらないとも言い切れません。そのため、妊娠の可能性が少しでもある高温期の後半くらいからは、お酒は飲まないようにしたほうが無難です。

まとめ

妊活中にお酒を大量に飲むことで妊娠しにくくなります。そのため、妊娠を望む女性は、1週間のアルコールの量が50gを超えないようにしましょう。ビールであれば1日1缶を週に3回くらい、ワインであればボトル1本を2週間かけて飲むくらいであれば大丈夫です。

お酒が好きで毎日たくさん飲む人は、急に完全に禁酒するのは難しいかもしれませんので、ノンアルコール飲料を利用するなどして、無理なくお酒の量と頻度を減らすようにしましょう。

しかし、妊娠してからの飲酒は少量でも胎児に悪影響が及ぶ可能性があります。妊娠が成立してからは完全に禁酒しましょう。

低温期や排卵期、高温期の前半くらいまでは、妊娠が成立していないため、たまに少量飲む程度なら大丈夫です。しかし、妊娠の可能性が少しでもある高温期の後半くらいからは禁酒するといいです。